森林が泣いている

森林(もり)が泣いている...

森林機能の多面的な重要性は誰も知るところである。
しかし、木材価格の低迷、高齢化と後継者不足、山村の荒廃など林業を取り巻く環境は決して明るいものではない。
この閉塞感漂う林業界に新たな「動き」が起きることを願い、この現況を打破するために私たちは産声をあげた。

「森林が泣いている」

未来の子供たちに、豊かな森林と自然環境を残してあげたい。

森林(もり)が泣いている... 1. はじめに

日本の国土は約70%(2500万ha)が森林に覆われている。
市街地からわずかに車を走らせるだけで豊かな緑が視界に入る。
しかし、そのうちの40%(1000万ha)は昭和30年代に進められた拡大造林政策によってつくられたスギやヒノキの人工林である。
植栽から50年。
人工林からは悲痛なメッセージが送り続けられている。

森林(もり)が泣いている... 2.1 薄暗い林内

陽の光は混み合った枝葉に遮られ、地面を照らすことはない。
そこにはひたすら光を求めた結果、上へ上へと背ばかり伸びた苗木がある。
植栽後、ほとんど手入れされることのなかった放置人工林、拡大造林政策によって生まれた人工林の多くは間伐適期を過ぎ、緊急間伐必要林と呼ばれている。
これ以上放置が進むと木材生産が望めないだけではなく森林生態系に深刻な異変をもたらすだろう。
しかし、様々な理由から手入れは進まない。
間伐されることのない林内では下層植生が育たず林床土壌の流出が始まる。
この状態が続くと土中に含まれた草や木の種まで失われ、植生の回復が困難になる。
横井※は
「ヒノキ林で一度絶えた下層植生を復活させることは容易ではなく、
下層植生が衰退する前に間伐を行い下層植生の維持と表土の保全を図ることが重要」
という。
荒廃した森林は河川にも影響を及ぼす。流域住民からは「川が濁りやすくなった」「魚が減った」「水量が減った」「少しの雨でも濁流になる」などの声が聞かれる。
保水力の低下、表土の流出および河川への土砂の流入が、水環境に悪影響を与えていることは確かであろう。河川環境の改善は森林環境の改善抜きではあり得ない。

※森林科学研究所 横井秀一「岐阜県の林業」No.615より抜粋

森林(もり)が泣いている... 2.2 森林で働く人々

林業就業者数は年々減少傾向で推移しており平成12年度は10年前の6割の水準となっている。
65歳以上の林業就業者の割合が25%に至り高齢化が進んでいる。
新規に参入する林業就業者の4割がUJIターン者で占められ、30〜34歳の就業者については7割以上がUJIターン者である。
このように、林業界は高齢化と人員の減少により、技術の伝承もままならない状態である。
それに加え、せっかく就業しても理想と現実のギャップに悩み、山村での生活に馴染めず離職していく者も少なくない。

森林(もり)が泣いている... 2.3 森林ボランティア

現在、各地で森林ボランティアの活動が盛んになってきている。
森林に目を向ける人々が増えてきたということでは大変好ましいことだ。
しかし、森林整備は非常に危険な仕事である。
間違えば「死」が待っている。
プロでも毎年数名の方が亡くなり、労災の掛け金が最も高い職種の一つなのだ。
森林整備には様々な仕事がある。
動力を使った派手な作業に目が行きがちだが、見様見真似でできるほど甘くはない。
森林ボランティアで活躍されている方々には、とにかく森林の窮状を訴え、一人でも多くの市民が、森林に目を向けてくれるための活動を期待する。

森林(もり)が泣いている... 3.1 森林を明るく

市民は、緑があるだけで自然豊かな国だと間違った認識を持ってしまっている。
恵まれたことに我国は、たとえ禿山になってしまっても、20年から30年すれば豊かな森林に戻ってしまうような奇跡の国だ。
しかし現実は、森林面積の4割に及ぶ人工林が手入れされないまま放置されてしまっている。
日本の森林の問題=人工林の問題といってもよいだろう。

では、どうすればよいのであろうか。

森林に光を入れることだ。つまり間伐を推進すること。
山林所有者にもう一度森林に目を向けさせることが必要だ。
そのためには、山にお金が流れる仕組みを作り上げていくしかない。
これまでの補助金付けの林業から脱却する必要がある。

森林(もり)が泣いている... 3.2 なぜ森に光が必要か

森に光を入れることは、すなわち下層植生を豊かにすることだ。
下層植生が豊かになれば、土砂の流出を防ぐことができる。
それは直接森林の保水力に結びつき、河川環境の保全につながる。
また、下層植生が豊かになることで、森林に住む様々な鳥獣類にも食べ物や住処の確保など好影響も期待できるだろう。
もう一つは、木材生産という意味で木を太くしてやることだ。
現在は、外国から安い木材がいくらでも買えるという状況にある。
しかし、これはいつまで続くかわからない。
地球温暖化防止(排出権取引)の観点からも日本にこれだけ豊か?な森林があるのに外国から買ってくる行為は許されない時代がやってくるだろう。
来るべきその時のためにも、用材として使えるような木を育てておく必要がある。
現状で推移すれば、用材として使える木材は生産できない。
20年先を見据えて、今、行動すべきだ。

森林(もり)が泣いている... 3.3 地球温暖化防止の観点から

人工林の手入れが進まない原因の一つに、木材価格の低迷があげられる。
林業は補助金に頼らなければ成り立たない業種になっている。
しかし、木材価格の低迷を嘆いてばかりはいられない。
地球温暖化が叫ばれている今こそチャンスだと思いやっていくしかない。
排出権取引を利用して、林業に新たな資金が流れる仕組みはできないものだろうか。
しかし、これもまた都会の廃棄場に中山間地域がされてしまうのではないかと危惧している。
ゴミだけでなく温室効果ガスまでも都会で排出されたものを中山間地域が引き取ることになりはしないだろうか。
中山間地域の方がイニシアティブを取れるような排出権市場ができないものだろうか。
それによって、何とか林業の活性化、中山間地域の活性化につながらないものか・・・。

森林(もり)が泣いている... 3.4 森林にかかわる人々

林業の担い手は年とともに高齢化している。
地元の若者で好んで林業に就業する者は少ない。
しかし、都会の若者が自然を守る仕事に憧れを持ち林業へと就業してくる。
森林整備の担い手として誰がということはなく、好ましい状況の一つだとは言える。
しかし、定着率が悪いことは問題だ。
行政がしっかりフォローしていく必要もあろう。
林業を子ども達の憧れの職業の一つにあげてもらえるよう努力していきたい。
 森林ボランティアは、市民が森林に目を向けるための啓発活動としてはとても重要である。
しかし、森林整備の担い手の一つには成り得ない。
山仕事を生業にしている者はボランティアが一生かかって伐るほどの木を一日に伐っているのだ。
スピードを求めないで、すがすがしい汗を流してほしいと願う。

森林(もり)が泣いている... 3.5 環境教育の推進

環境意識の高い市民を培っていくことは必ず地域の将来を支える力となるであろう。
同じ志を持つ人々と連携し、環境教育の推進に積極的に取り組んでいきたい。
子ども達にポスターを描かせたときに、植林は○、伐採は×などという絵を描かせたくない。
日本の森林に今必要なことは、「伐る」こと、森林に光を入れることだと気づかせたい。
山や自然のよさを知って大切でかけがえの無いものであるという認識を持った子ども達を育てたい。
その子ども達がたとえ山の仕事をしなくても、自分の払った税金を環境に使ってほしい、山を守ってほしいと考えてくれれば理想的だ。

森林(もり)が泣いている... 4. 終わりに


森林からの声は聞こえているだろうか。

耳を傾け、すぐに対処しなければ取り返しのつかない未来を招くだろう。

必要なことは、間伐。
森林に光を入れること。

森林だけを見ていても山は見えず、川だけを見ていても流れは見えてこない。

森林の窮状に広く理解を求めるには、木材生産だけではなく、鳥獣の生息環境も視野に入れた森林生態系の回復、水系流域の環境保全、地球温暖化防止等様々な視点で森林を見直す必要がある。

すべては一連なりの生命なのだから。

未来の子供たちに、豊かな森林と自然環境を残してあげたい。

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